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機動警察パトレイバー 2 the Movie
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== 作品解説 == 監督の押井守は『[[西武新宿戦線異状なし DRAGON RETRIEVER|西武新宿戦線異状なし]]』や『機動警察パトレイバー』OVA第1期ですでに、自衛隊のクーデターをモチーフとした作品を手がけている。<!-- {{独自研究範囲|だが、劇場版第1作より濃厚になった押井独自の「都市論」「政治論」に基づく演出や、当時物議を醸していた自衛隊PKO派遣の要素を加えるなど、監督の思想を色濃く反映し前記の作品群とは一線を画すものとなった。|date=2019年6月}} -->また、レイバーによる戦闘シーンが冒頭とクライマックスに数分間挿入されるのみに留まり、極めて抑えられたものとなっている。<!-- {{要出典範囲|幻の爆撃の演出に代表される、「現実」と「非現実」についての描写も随所に散りばめられている|date=2019年6月}}。 --> === 世界観 === 本作品はOVA第1期・劇場版1作目と同じく押井守監督作品だが、公開当時のテレフォンサービスなどではテレビ版・OVA第2期に連なる世界であることが明言されており{{要出典|date=2019年6月}}、特車二課棟の所在地もOVA第1期・劇場版1作目で設定されていた大田区城南島の埋立地には存在しない様子である。 本作品中では18号埋立地に通じる海底トンネルの入り口が城南島東端に存在する<ref group="注釈">ただし、これは押井の認めるところであったか{{要出典|date=2019年6月}}、演出ミスであったどうかは不明。</ref><ref group="注釈">テレフォンサービスは横手美智子らの脚本によるものである{{要出典|date=2019年6月}}。その一方、『機動警察パトレイバーCD BOX』に収録された、伊藤和典脚本によるドラマCD『第2小隊日誌』では、世界の繋がりに関して異なった解釈がなされている。 「劇場版2作目の前日譚」として発表された本作品では、テレビシリーズの内容には触れず、初期OVA6話までの内容を振り返りつつ、篠原重工にテストパイロットとして出向する野明と遊馬の様子や、テスト機として送り出される98式が描かれるなど、劇場版2作目が、テレビシリーズではなくOVA第1期と繋がっていることが明示されている。 <!-- {{独自研究範囲|劇場版2作目の公開直前である1992年に書き下ろされていることから、少なくとも脚本の伊藤においては、劇場版2作目はOVA第1期と繋がっている認識であったことが分かる。|date=2019年6月}} -->また、押井守による劇場版2作目のノベライズである『TOKYO WAR』では、太田が香貫花あての遺書のみを残し、熊耳についての描写は存在しない。ただし、『TOKYO WAR』は押井個人の解釈に基づいた作品であることに注意。</ref>。ファンの混乱を避けるため公式ファンブックなどではパトレイバーはテレビ・OVA・映画・漫画・小説全てがパラレルワールドであることが明記されている。 漫画版とは直接的な繋がりはないが、本作品の公開に合わせて、ゆうきまさみが漫画版の扉絵に本作品のキャラクターやレイバーを登場させたほか、「PATLABOR 2002」と題して本作品の野明と遊馬をイメージしたピンナップを描いている。しかし、それらはいずれも[[週刊少年サンデー]]に掲載されたのみで単行本未収録となっている。 東京の描写は、劇場版第一作の「過去の東京」に対し、本作品では「現在の東京」がモチーフになっている。 === 演出 === {{出典の明記|date=2019年6月|section=1}} 劇中でテレビなどのニュース番組の内容が映されているが、日本語のアナウンスは複数の[[文化放送]]の現役アナウンサー(当時)が声優として出演している。また、自衛官や民間人など、主要キャスト以外の声に敢えて素人を起用している。{{要出典範囲|「声優による上手すぎる演技」を払拭することで、現実感や臨場感を強調するための措置であるという|date=2019年6月}}。しかし、後年のサウンドリニューアル版ではプロの声優での収録となっている。 本作品ではあくまで後藤をメインに話が展開され、一作目に比べ(旧)第二小隊の面々の登場割合が激減している<ref group="注釈">後に押井自ら手がけた小説版『TOKYO WAR』では、映画では割愛された部分が大幅に追加されているため、映画では描かれなかった彼らの様子も詳細に描写されている。劇場版には登場しなかった香貫花・クランシーについてもわずかに触れられているが、熊耳武緒についての記述は一切ない。この小説版はそんな映画版の補完の役目を担う一方、あらゆる面で『食』に対する押井のこだわりが書き綴られている。なお、これは押井にとっての小説処女作でもある。</ref>。一方で、前作以上に「[[鳥]]」が随所で登場している。これは、押井の「空を飛ぶものは、人間からすれば怖いもの」という考えに基づいた演出であるという{{要出典|date=2019年6月}}<ref group="注釈">なお、鳥の他に魚も押井が好むモチーフだが、これは聖書からの暗喩でもあるという{{要出典|date=2019年6月}}。犬については押井本人の好み{{要出典|date=2019年6月}}。押井が自ら執筆した本作品のノベライズでは、柘植一味のヘルハウンド発進を目撃した男性の飼い犬には“ガブ”という名前が設定されており、これは当時の押井が飼っていたバセットハウンドの愛称(正式な名前はガブリエル)である{{要出典|date=2019年6月}}。また、映像作品中(本作品)で描かれた姿から、犬種も同じである。</ref>。劇中終盤で柘植率いる蹶起部隊が使用する「ヘルハウンド」に関しても、デザインこそ前作のものではあるが、河森いわく「[[猛禽類]]が獲物を狙う様をイメージソースとした」と語る本機を、鳥類のメタファーとして効果的に登場させている{{要出典|date=2019年6月}}。 本作品では、物語のドラマ性を極力排除する試みがなされ、「人と人を会わせない」「顔と顔を合わせない」という構成と演出に基づいた結果、主役格の後藤喜一と主犯格の柘植行人は一度も邂逅せず、登場人物たちも、終盤で南雲しのぶが柘植行人を逮捕する場面など一部を除いては対面での会話劇が控えられ、常に同じ方向を向いて台詞を喋らせる平行のレイアウトが多用されることになった。特に車内での会話劇に関しては、車専門のレイアウト担当者に車内のレイアウトの間隔を全て統一させることで、3コマ撮りアニメの基本である口パク3枚(閉じ口、中口、開き口)のみで話が進行した際に起こりがちな画面の貧弱さを補う努力がなされている<ref>『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』、1993年12月30日発行、庵野秀明・編、ハッピー興行新社、P69</ref>。 柘植が野戦基地を構え、ラストシーンの舞台となる「18号埋立地」は架空の場所<ref group="注釈">劇場版第三作目「[[WXIII 機動警察パトレイバー]]」に登場する廃棄スタジアムも実は同じ土地に存在している。本作品では進士と南雲が敵本部への侵入経路をCGで説明するシーン、「WXIII」では怪物が殲滅されたあとカメラが上空へと引いていくシーンや設定資料などでそれぞれ地形が確認できる。周辺の立地状況に関しては[[WXIII 機動警察パトレイバー#製作]]も参照。<!-- {{独自研究範囲|南雲が柘植を逮捕する場所と廃棄スタジアムは、実は徒歩で行き来することも十分に可能な距離なのである。|date=2019年6月}} --> スタジアムは元々[[2002 FIFAワールドカップ]]開催時の使用を目指し建設が進められていた物であるらしい{{要出典|date=2019年6月}}。だが「パトレイバー」の世界ではその誘致に失敗したため、建設を中止して放棄され、バビロンプロジェクト完了後もこの埋立地そのものが宙に浮いていた模様。</ref>であるが、このシーンのロケハンは、実在の13号埋立地<ref group="注釈">設定上18号埋立地に隣接する[[中央防波堤外側埋立地]]を指す。</ref>で行われた。国に正式な手段を踏んで許可を取らなければ取材や立ち入りもできない地域とのことで、角川グループを通し、名目上は『埋立地のゴミ処理問題を調査する記事の取材』と称して『そのコメンテーターとして映画監督の押井守氏に同行していただく』という建前で申請された{{要出典|date=2019年6月}}。その取材記事は当時のアニメ誌『[[月刊ニュータイプ]]』に掲載されている{{要出典|date=2019年6月}}。 === 評価・影響 === 本作品は[[富野由悠季]]による『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]』を絶賛する押井からの、ある種の回答やテーマに関する呼応の意味が込められていることが、同人誌『逆襲のシャア友の会』における[[庵野秀明]]との対談で告白されている<ref>『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』、1993年12月30日発行、庵野秀明・編、ハッピー興行新社、P21、59、63</ref>。押井が他人の映画を、ほぼ手放しで褒めることは極めて稀なことであるが、押井との対面時にそれを告げられた富野は、同じく庵野との対談で「お世辞だと思って聞き流した」と語り、これに関して庵野は「あの人(押井)はそんなに世渡りが上手くないです」と言い加えている<ref>『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』、1993年12月30日発行、庵野秀明・編、ハッピー興行新社、P92</ref>。 [[宮﨑駿]]は当時、押井作品を多く鑑賞しており、その度に不満を口にしてきたが、本作品では一転して高評価している。どうやって作ったのか考えたくなくなるほどの映像表現に感心し、同じジャンルで競合するのは辞めようと話している。さらに「とても見応えがあった、語り口の巧みさも本当に抜きん出ていた」と評価する一方、冒頭では発砲すべき、犯人はつまんなかった、疑問に思ったことが作中の人物の口から語られてしまって、自分は何も言えなくなる、などの意見も述べている<ref>アニメージュ叢書『すべての映画はアニメになる』(押井守著、pp.244、宮崎との対談)</ref>。 監督である押井守は、本作を「物語を無くした論文みたいな映画」と評し、「自分で観てもそんなに面白くない」と語っている<ref>『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』、1993年12月30日発行、庵野秀明・編、ハッピー興行新社、P68</ref>。また、1995年に[[地下鉄サリン事件]]との類似性・事件に対しての先見的な描写が注目を浴び、それを指摘された際に押井は「アレには本当にまいった。こんなことが起きるとは全く想定していなかった。ああいう事は妄想で終わる事に価値がある。実際のテロは妄想よりも遥かに人間臭くて、惨めったらしくて、要するに卑俗なもんですよ」とコメントしている<ref>[[雑草社]]刊「[[ぱふ]]」1995年12月号「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 劇場公開直前SPECIAL」p.65より。</ref>。 押井作品ファンとして知られる[[ジェームズ・キャメロン]]が『[[タイタニック (1997年の映画)|タイタニック]]』のキャンペーンのため来日した際、本人の希望により[[大友克洋]]と押井3者での会食が設定された。屋形船でおこなわれたその席で、[[隅田川]]の[[勝鬨橋]]を目にしたキャメロンは「パト2でヘリコプターで爆撃されて吹き飛んだあの橋だ」と狂喜したという<ref>[[徳間書店]]刊「[[アニメージュ]]」1998年1月号「BANDAI VISUAL'S 2001:an animation odyssey -バンダイビジュアルの野望-」27Pより。</ref>。 === 音楽 === イメージソングとしてMANAによる「愛を眠らせないで」というCDシングルが発売されているが、事前のプロモーションやテレビ・ラジオCFなどで流れたのみで、本編中では聴くことはできない。<!-- また、この曲に[[川井憲次]]は参加していない。 --> [[川井憲次]]によるサウンドトラックアルバムは三種類が発売されている。まず、劇場公開一週間前の[[1993年]]8月1日には本編の予告編的な意味合いを持つイメージアルバム「PATLABOR 2 the Movie/PRE SOUNDTRACK」が発売され、続いて9月21日に正式な劇中サントラ盤となる「ORIGINAL SOUNDTRACK "P2"」が発売された。[[1998年]]発売の「PATLABOR 2 the Movie "SOUND RENEWAL"」は本作品のDVDソフト化に際しリニューアル(再録音)された音源を収録している{{要出典|date=2019年6月}}。オリジナルのサウンドトラックではシンセサイザーのストリングスやコーラスだったパートを生楽器や本物の女性コーラスに差し替えるなどの大幅な手直しがされている。 劇中歌「おもひでのベイブリッジ」は前売りチケットマガジン付属のシングルCDに[[美桜かな子]]が歌ったバージョンが収録されている。また、のちに[[バップ|VAP]]より単発のシングルCDとしても一般発売された。こちらには美桜バージョンと劇中で使用されたカラオケ・バージョンの他に、「しのぶと喜一」([[榊原良子]]と[[大林隆介]])によるデュエット・バージョンも併せて収録されている<ref group="注釈">当初この「おもひでのベイブリッジ」は冗談のような軽い気持ちで作曲されたが、美桜かな子バージョンのレコーディングの際には「[[演歌]]の鬼」のような先生が同伴してきて美桜かな子に熱烈指導を始めたため、作曲を担当した川井の顔は徐々に青ざめていったという{{要出典|date=2019年6月}}。</ref>。
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